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少年事件の死刑 生きて償う選択肢も 市川美亜子

<朝日新聞デジタル・記者有論2016年9月1日より無断転載>

社会部・市川美亜子

 宮城県石巻市で2010年、当時18歳の少年が元交際相手の少女の実家に押し入り、少女の姉ら3人を殺傷した事件は、裁判員が裁いた少年事件では初めて死刑判決が確定した。千葉祐太郎死刑囚とは最高裁判決を控えた6月から、面会や文通を重ねてきた。確定日の2日後、誕生日だった7月2日に書かれた手紙には、こうつづられていた。

 「今日、オレは25歳になりました。もう死刑執行されるだけ、とされたオレだけど、自分を変える努力を続けます。最後まで、必ずです」

 一審・仙台地裁の裁判員裁判のころは「早く死刑になりたい」という思いでいっぱいだったという。「逃げたい。楽になりたい。今思えば、自殺みたいな理由だった」。考えを変えたのが、裁判中の6年間、支援者や弁護人と重ねた日々だった。

 母親から虐待された幼少期を振り返り、「人から傷つけられ、傷つけ返す連鎖から抜けだそう」と話し合った。「何があっても人を傷つけない人間になること」が生きる課題になった。弁護人は「自分の命を大切にしてくれる人に出会い、初めて奪った命の大切さを自覚した。6年かけ、やっと更生の道のスタート地点にたどり着いた」と説明する。

 だが、25歳の誕生日を前に、彼は社会から更生を期待されない存在となった。死刑囚が面会できるのは親族や弁護士らごく限られた人だけで、支援者らとの交流は、なかなか許されない。懲役囚と違って刑務作業も、矯正教育もない。

 従来、少年事件の死刑判断にあたっては更生の可能性が重視されてきた。光市母子殺害事件で06年、結果の重大性を重視して最高裁が無期懲役判決を破棄し、流れは変わった。今回の最高裁の判決文には更生の可能性について考察した箇所は一切ない。「更生は、死刑を回避すべき事情ではない」という意志を感じる。

 2人の命を奪った結果は、この上なく重い。当時18歳と20歳だった被害者が生きていれば20代半ば。仙台地裁で遺族は「娘の命を奪った加害者に未来を与えるのはあまりにも不公平」と訴えた。ある裁判員は「人の命を奪った罪は、年齢を問わず判断するべきだと思った」と話した。

 一方で、別の裁判員は地裁判決後、「どうすれば、この子のためになるのだろうか、と悩んだ」と打ち明けた。「死刑と無期懲役の間に、(仮釈放がない)終身刑があったら……」との思いも吐露した。

 千葉死刑囚には、手紙の言葉どおりに、最後まで自分を変える歩みを続けてほしい。ただ、彼を「生きる価値がない人間」として社会から消すことで何が生まれるのか、とも思う。取り返しのつかぬ罪を犯した人が、生きて悔い続けることによって罪を償うことを許す社会の可能性を、考えていきたい。

 (いちかわみあこ 社会部)
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死刑制度とは?

死刑制度は人間の生命権を国家が直接侵害する反人権的で、現在の刑罰が持つ「教化」機能を全面的に否定するもの。
犯罪発生に大きな影響を及ぼす社会の不完全要素に対する責任を全面的に犯罪者に転嫁するひきような行為。
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